魚の餌やり(1/2)

体験談

正直に言うと、あの夜のことは今でもはっきり覚えてる。

僕は大学3年で、彼女とは付き合い始めて一年近くになる。彼女の家には何度か遊びに行ったことがあって、お姉さんやお母さんの顔も知っていた。26歳のお姉さんは、彼女より少し大人びていて、落ち着いた話し方をする人だった。母親は気さくな人で、僕のことを「いつもありがとうね」と笑顔で迎えてくれた。

彼女が友達と旅行に行く三日前の夜、彼女の家で晩御飯をご馳走になった。お母さんとお姉さんも一緒で、四人で食卓を囲んだ。話題は旅行の荷物の話や、最近のどうでもいい話ばかりだった。お母さんが一杯だけお酒を勧めてくれて、お姉さんも付き合いで少し飲んでいた。特に変わったことは何も起きなかった。ただ、食事の途中でお姉さんと目が合ったとき、彼女の視線が少しだけ長く残ったのを覚えている。そのときは「気のせいだ」と思い込むようにして、僕は彼女の方ばかり見ていた。

そして旅行当日。

昼過ぎに彼女から電話がかかってきた。

「ごめん、魚の餌、やるの忘れてた。家に誰もいないから、お願いできない? 鍵はポストの中に入れておくから」

「わかった。行ってくる」

「ありがとう。何かあったらまた電話して」

電話を切ったあと、僕は午後から彼女の家へ向かった。ポストから鍵を取り出し、玄関を開ける。いつものリビングには誰もいなかった。水槽の前に立って、指示通りに餌を浮かせていると、後ろで玄関のドアが開く音がした。

振り向うと、お姉さんが立っていた。仕事帰りらしく、少し疲れた表情をしていた。

「あ……玲奈の彼氏くん」

「すみません、魚の餌をやりに」

「ああ、電話あったよ。ありがとう。助かった」

お姉さんはずっとリビングに入ってきて、ソファに座った。僕もそのまま帰るつもりでいたのに、「少し座っていきなよ。お茶淹れるから」と勧められて、結局断れなかった。キッチンからお茶の香りがして、お姉さん が湯飲みを二つ持って戻ってきた。

最初は本当に世間話だけだった。

「彼女、元気そうだった?」

「はい。朝も連絡きました」

「そう。真面目に連絡してるんだ」

「ええ」

「いい彼氏だね」

お姉さん はそう言って小さく笑った。僕も曖昧に笑って返事をした。沈黙が数秒続いて、お姉さん が湯飲みを置きながら、少し体をこちらに向けた。

「ねえ。彼女の話、していい?」

「はい」

「あの子、本当に純粋だよね。あんたのこと、すごく好きみたい」

「……そうですか」

「うん。私も見ててわかる。だから、あんたがちゃんと大事にしてるのがわかって、少し安心した」

言葉自体は優しいのに、どこか引っかかるものを感じた。お姉さん の目が、真っ直ぐ僕を見ていた。視線を外そうとしても、すぐにまた戻ってしまう。

「でも、ね」

お姉さん が声を少し落とした。

「真面目な子って、たまにとんでもない顔するよね」

「え……?」

「今の、あんたの顔。ちょっと違うよ」

心臓が跳ねた。僕は無理に笑ってごまかそうとしたけど、お姉さん は追及しなかった。ただ、静かに僕の方を見たまま、お茶を一口飲んだ。

「少しだけ、近くに来て」

「……はい」

ソファの距離が縮まった。お姉さん の膝が、僕の太ももに軽く触れた。熱を感じた。離れようと思ったのに、体が動かなかった。

「触っていい?」

頭の中で「いけない」と何度も繰り返していた。彼女の顔が浮かんで、胸が苦しくなった。なのに、小さく頷いてしまっていた。

お姉さん の手が、最初は僕の膝の上に置かれた。重みを感じるだけで、まだそれ以上ではなかった。お姉さん は僕の顔を見て、静かに聞いた。

「嫌なら、止めていいよ」

「……大丈夫です」

自分でも驚くほど、声が小さかった。お姉さん はそれを確認するように、もう一度僕の目を見たあと、ゆっくりと手を動かした。太ももの外側から、内側へ。布越しに体温が伝わってくる。指先が鼠径部に近づくたびに、息が浅くなっていくのが自分でもわかった。

「緊張してる」

「……はい」

「彼女のこと、考えてる?」

「……考えてます」

お姉さん は否定も肯定もせず、ただ小さく頷いた。そして、ズボンの上からちんこを優しく握ってきた。もう半分以上硬くなっていた。お姉さん はそれを確かめるように、指の腹で形をなぞった。

「もう、こんなになってる」

声が低かった。責めているわけでも、嘲笑っているわけでもない。ただ事実を確認するような口調だった。僕は返事ができなくて、俯いた。お姉さん は無理に顔を上げさせようとはせず、ベルトに手をかけた。

「外していい?」

「……はい」

金属音が小さく鳴った。ファスナーが下ろされる音が、妙に大きく聞こえた。お姉さん は急がずに、ズボンと下着を一緒に少し下げた。ちんこが空気に触れた瞬間、熱を持ったものが跳ねるように起き上がって、情けない声が喉から漏れた。

お姉さん はそれを見て、小さく息を吐いた。

「……本当に、熱い」

指で優しく持たれただけなのに、腰がびくっと反応した。お姉さん は僕の顔を一度見てから、ゆっくりと上下に扱き始めた。急がない。根元から先っちょまで、丁寧に指を這わせる。時々、先っちょの裏を親指でくすぐるように刺激してくる。そのたびに、透明な液が糸を引いて指に絡んだ。

僕はソファの背もたれに頭を預けて、天井を見た。彼女の笑顔が浮かぶ。旅行先で楽しんでいるはずの彼女の顔。なのに、腰はお姉さん の手の動きに合わせて、わずかに浮かされてしまっていた。

「んっ……」

声を噛み殺そうとしても、抑えきれなかった。お姉さん は僕の反応をじっと見ながら、速度を少しだけ上げた。

「声、出してもいいよ。誰もいないから」

「……すみません」

「謝らないで。今は、感じることに集中して」

金玉を優しく揉まれた瞬間、腰がびくんと跳ねた。お姉さん はそれを見逃さずに、もう一度同じ場所を指の腹で転がした。ちんこはすでに限界近くまで硬くなっていて、先っちょから透明な液がとろりと溢れていた。お姉さん はそれを指で軽く伸ばすように撫でたあと、顔を近づけてきた。

熱い息が先っちょにかかった。

「……舐めていい?」

問うように言われて、僕は小さく頷いた。お姉さん はゆっくりと舌を出して、ぺろ、と音がするくらい丁寧に先っちょを舐め上げた。熱い舌の感触が、指とはまったく違う刺激になって腰に走る。お姉さん は一度だけ顔を上げて僕の様子を確認すると、また顔を戻して、ねっとりとぺろぺろと舐め続けた。

先っちょの裏側を集中的に舌で転がされた瞬間、声が裏返った。

「んあっ……」

「ここ、弱いんだね」

「……はい」

「彼女には、こんな顔、見せたことある?」

質問に答える余裕はもうなかった。頭の中が熱くて、思考がうまく繋がらない。彼女のことを思い浮かべて必死に我慢しようとしたのに、お姉さん の舌と指は容赦なく、でも丁寧に、僕の弱いところを刺激し続けた。ぺろぺろと規則正しい音が、静かなリビングに小さく響いていた。時々、舌を離して息を吹きかけられたり、先っちょを軽く吸われたりするたびに、腰が勝手に震えた。

お姉さん は時折、ちんこ全体を舌で丁寧に舐め上げては、先っちょだけを口に含んで、ゆっくりと吸った。濡れた音がくちゅ、くちゅと小さく響く。指で金玉を優しく揉みながら、舌で裏筋を執拗に刺激されるたびに、視界が白く霞んでいくのがわかった。

「出そう……っ」

「まだ我慢して。もう少しだけ」

「もう……無理です……」

「いいよ。出して」

その言葉と同時に、熱いものが勢いよく噴き出した。お姉さん の舌の上と指の間から白濁が溢れて、ゆっくりと垂れていく。お姉さん はそれをじっと見たあと、急かさずに、残ったものを舌で軽く舐め取ってから、優しくちんこを拭うように撫でた。余韻で腰が小さく痙攣するのを、そのまま受け止めてくれていた。

僕は急に我に返った。

「すみません……今日は、帰ります」

声が上ずっていた。お姉さん は何も引き止めなかった。ただ、静かに頷いて、近くにあったティッシュを僕に渡してくれた。自分がしたことを、まるで日常の延長のように淡々と処理している。その余裕が、逆に僕を動揺させた。

ズボンを上げて、立ち上がる。足元が少し浮いているような感覚があった。お姉さん は玄関まで送ってくれて、ドアの前で短く言った。

「気をつけて」

「……はい」

ドアが閉まった。

帰り道、頭の中はずっと真っ白だった。彼女への罪悪感と、今さっきまでの感触が、交互に胸の奥でせめぎ合っていた。彼女の笑顔を思い出すたびに、胸が痛くなった。なのに、お姉さん の指と舌の感触が、いつまでも残っていた。握られたままの温度と、ぺろぺろと舐められた感触が、なかなか消えない。

あの日は、それで終わるはずだった。

翌日、魚の餌のことが頭から離れなくて、また彼女の家の前に立ってしまうことになるとは、その時はまだ思ってもみなかった。